Maegaki
命とは美しく尊いものである。だがその命が花弁のように美しく散っていくものなのか、ガラスの容器のようにヒビが入り何かを傷つけて分岐させるものなのか、またもや火のように激しく燃えて知らないうちに一瞬の塵と化してしまうものなのかは、誰にもわからない。そしてその想像不能な生命は時に欲望や禍を招き、時には幸せを招くのであろう。このような世の中は古代から今まで変わることがないと人類にささやかれ続け、それを決定付けるかのように数多くの生命が禍に呑み込まれて忘れ去られ、数多くの生命はそれを知らず関係のないかのように一生を幸せに終えて消えた。
これから語る人里離れた小さな町の物語は本当に存在したのかは誰にも分からない。だから共感することもなく、誰かに発見されることもないのかもしれない。しかし、だからこそ本心で理解をしようと思っている人々にだけ、この物語の本意と感情が伝わっていくのだと思う。すべての生命にいつか幸せが招かれるように。